バーニ・サンダース現象とニューヨーク州立大学授業料無料化

日本経済新聞の紙面に「大機・小機」と言うコラム欄がある。世界と日本の政治・経済問題をこの経済新聞の立場でユニークは切り口で論じており毎回興味深く読んでいる。

1月7日付けのテーマは「市場経済と民主主義の危機」であった。少し長くなるが、「2016年はポピュリズム(大衆迎合主義)が世界を席巻した。昨年は「「起こりえず、起きるべきではない、起こらないであろうことがすべて起きた年」」と米紙は振り返った。英の欧州連合離脱決定、トランプ次期米大統領の選出はもとより、フィリピン、コロンビア、ブラジル、イタリア、韓国で起きたことは市場経済や民主主義のあり方に波紋を投げかけた。各国には固有の事情がある。だが貧富の差の拡大、中間層の没落、地方の衰退などの経済問題に対し、政治が無力であり、社会が分断されたままであることへの国民の失望が共通点として指摘されている。経済的苦境が続く一方で、社会的不公平や不公正が是正されず、社会正義が実現されないことに国民の怒りが爆発した。それがポピュリズムを台頭させ、反グローバリズムにつながっているといって過言でない。市場経済と民主主義の危機で、それはそのまま今年に持ち越されている」と論じている。ここまではまったく同感である。

この「ポピュリズムの台頭」と言うフレーズは最近のマスメデイアでも随分論じられており、それがトラスプ現象やフランス右翼政党「国民戦線」のルペン党首フィリピンのドウテルテ大統領誕生の源になっていると言われる。

ポピュリズム(大衆迎合主義)とは辞典を紐解くと「政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法、あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動をポピュリズムと呼ぶ」とあり、改革のエネルギーとなることもあれば、大衆の欲求や不満のはけ口としての衆愚政治にもなり得ると評している。

ロシア高官らがトランプ氏の当選に歓喜、米傍受記録で判明=米紙
写真はニュージャージー州で昨年10月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

本来、人間社会の歴史的発展を振り返るなら、その社会的正義感に基づく改革のエネルギーは次の発展した時代を目指す、より理性的・民主主義的な社会変革への方向に使われてきた。しかし今、世界は難民、移民受け入れ拒否や保護貿易への志向、さらにテロに見られる暴力的破壊行動などナショナリズムや右翼的な保守主義、民族主義が台頭してきておりポピュリズムが「衆愚政治」になりつつある危険があり、そこにトランプ、ルペン、ドウテルテらのポピュリズムが台頭する要因がある。

一方、「理性的・民主主義的な社会変革」を目指したバーニ・サンダースは残念ながらアメリカ大統領にはなれなかったが、その市民エネルギーはニューヨーク州立大学の授業料無料と言う形で一つの果実を生んでいる。

「大機・小機」のコラムでは5年目を迎えた安倍晋三政権に対し現在の経済情勢を打開するために金融緩和だけでなく、財政出動さらに国民に痛みを伴う構造力改革を求め「ぬるい改革に終始していては、結果はついてこない」とはっぱをかけている。しかしこの路線はすでに破綻しており、貧困・格差、社会的不正義はますますすすんでいくだろう。

今、私たちに求められているのは国民・市民の不満、欲求のエネルギーを理性的な判断で民主主義のエネルギーに向かわせ、偏狭なナショナリズムや差別主義を乗り越え社会正義に立ち向かえる国民的な政治的な柱をいかに創り上げるかにかかっている。

バーニ・サンダース現象はアメリカでも日本でも今後さらに「拡散」していく。

(文責 H)

コラム:民主党はなぜサンダース氏の歓心を買うべきか
カリフォルニア州で5月26日撮影(2016年 ロイター/Jonathan Alcorn)

 

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